【農薬・化学肥料不使用栽培】お米ができるまで
今回は農薬・化学肥料不使用栽培のお米についての栽培工程を解説していきます。
皆さんがよく耳にする無農薬栽培とはどういうふうに栽培されているのか知っていただけたらと思います。
※同じ作物の栽培に関しても地域により全然違います。
こちらは群馬県邑楽町の栽培工程になります。
完全無農薬のお米ができるまで
無農薬栽培とは、読んで字の如く農薬を一切使用せず栽培したお米になります。
肥料については、化成肥料を使用しても特に問題ありません。
ただ土壌に害のない除草剤を使っていながら無農薬という農家さんもいたりするので、各農家さんのやり方でそれぞれ違うのです。
なので無農薬という言葉は基本的に表示してはいけないと言ったようなルールなども設けられてあります。
詳しくは農林水産省のガイドライン「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」をご覧ください。
では順を追って栽培過程を見ていきましょう!
種子消毒 5月上旬
まずは種蒔きの前に種の消毒作業になります。
大きなタンクなどの水が沢山溜まる物に水を張り農薬を薄めてそこに種を浸す作業になります。
浸す時間は薬剤により異なりますが、一般的には24時間程浸します。
その後は日陰の風通しの良い場所で乾かします。
左:無農薬米の木酢液による殺菌 右:慣行栽培による消毒
比べてみてどうでしょうか?
慣行栽培用の消毒は見た目もTHE薬って感じですし、匂いも薬剤の匂いがぷんぷんするんですよ!
ここで疑問に思った方もいると思うのですが
農薬・化学肥料不使用栽培の方に使った木酢液って薬剤じゃないの?
って方もいると思うのですが、これは農薬ではなく国が認めた「有機JAS土壌改良材」になります。
土壌改良や植物活性化のサポートの働きがあり、希釈倍数を薄くして散布すれば植物が元気になり、濃くすると殺菌目的にも使える万能有機資材になります。
無農薬栽培用の籾種では、この木酢液を濃くして殺菌目的で使用しております。
播種 5月中旬
播種は専用の播種機にて行います。
播種を始める前までに必要な苗箱に下土入れをします。
播種日当日は、流れ作業にな理、灌水~播種~覆土の順に行います。
うちの播種機は年代物の為、至る所から種が溢れたりしちゃいます。
その後は苗箱を並べて発芽するまでは、白網、黒網、ビニールの三重トンネルで保温し、発芽したら白網のみにして育苗します。
種蒔き後に苗場に運搬し、3重トンネルした様子と発芽し始めたトンネル内の様子。
全体が発芽したら白網のみにして育苗。
田植え前には網も外し、いよいよ農繁期本番です。
田植え前の準備期
群馬県邑楽町では秋から春にかけてビール麦や小麦を栽培しており二毛作栽培をしている人が沢山います。
ビール麦の収穫が5月末〜6月頭なので田植えまでの準備期間が短く6月上旬〜中旬までがとても忙しいです。
そんな忙しい中、田植え前までに以下の工程があります。
畦塗り
畦(あぜ)とは田んぼを取り囲んでいる土の壁で、田んぼの土を塗りつけて割れ目や穴を塞ぎ、防水加工する作業の事です。
毎年水稲などで田んぼを使っていると、だんだんと崩れてきますので、毎年麦の収穫後最初にする作業になります。
この作業は雨の後などで土がしっかり湿ってる後にやらないとしっかりした畦が形成できないので、天気を見ながらの作業になります。
畦塗り作業の様子。
畦塗り後の様子。
耕起
ビール麦・小麦の収穫の際に藁が出ますので、トラクターで一回耕して藁を土の中入れ、代掻きのできる状態にします。
耕起の様子。
肥料散布
肥料散布機で元肥を散布します。
無農薬栽培の田んぼでは、天然原料だけで作られた100%有機肥料を散布しております。
農協出荷用の田んぼには、一般的な化成肥料を散布しております。
肥料散布の様子。
無農薬米は右の100%有機質肥料を使用しています。
田植え 6月中旬
水路に水が流れ始めたら、まずは代掻きから行い、次の日に田植えを行います。
うちの機械だと1日辺りの代掻きできる面積は5反〜7反辺りになります。
代掻き前と代掻き後の様子。
代掻きの仕方は人それぞれで、自分の場合は外周→横→縦→逆外周の順に代掻きしてます。
拘ればキリがないので、基本的にほとんどおんなじやり方で行ってます。
田植え前と田植え後の様子。
又、田植え前の苗に粒剤の農薬をやるのですが、無農薬米の方は、ここでも木酢液のみを使っています。
育苗中にも灌水代わりに使っております。(本当に万能資材ですよ!)
除草作業 6月下旬〜7月中旬
田植え後から中干し期間の間までに田んぼの中の除草作業をします。
除草剤も使いませんので、全て道具を使って除草作業を行います。
自分は手で押していく「人力水田除草機」を使って田んぼの中を、ひたすら押して歩いています。
この作業は、田植えをしてから一週間後に2回行います。
稲の間の草取りしたり、周りを刈ったりしてます。
無農薬のお米を作るまでに一番大変で苦労するのが、田植えでもなく収穫でもなく、この除草作業になります。
真夏の炎天下の中、永遠と田んぼの中を歩かないといけないので、相当根気のいる作業になります。
田んぼの周りも草刈機で何回も刈ります。
田んぼの周りは、年間通して草が生えてきたら行う作業になります。
中干し 7月下旬〜8月上旬
中干しとは、田んぼに軽く亀裂が生じる程度まで水を抜く作業になります。
この作業は、お米の品質や収量を左右する管理作業になります。
しっかりと中干ししないと、根が酸素の供給ができず、根の発達などが不十分となり、未熟米やくず米の発生が多くなってしまいます。
収穫 10中旬〜10下旬
収穫シーズンは、特に天候に気をつけながら行います。
収穫前
稲刈りの様子。
お米の水分値が高いと、乾燥するのにかなりの時間や灯油を消費してしまうので、晴れが続き、水分値が約20%の時に刈り取りしております。
籾摺りの様子。
まとめ
ここまでがうちでの農薬・化学肥料不使用のお米の栽培過程になります。
どの作業が一番大変ですか?
って聞かれることも多々あるのですが、一番は間違いなく田んぼの中の除草作業になります。
一番大変であり、慣行栽培と農薬・化学肥料不使用栽培の大きな分岐点となる作業だと思います。
その土地柄や、それぞれの農家さんによって、おんなじ言葉の栽培方法でも栽培工程は違いますので、お客様が安心安全と思う農家さんのお米を買うのが一番だと思います。
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住所 |
〒370-0605 群馬県邑楽郡邑楽町藤川1070 |
営業時間 | 9時~17時 |
定休日 | 日曜日 |
代表者名 | 諸井 智貴 |
info@kinameru-farm.com |